悩み解決!過剰在庫の発生原因や防ぎ方

在庫管理は経営における重要項目の一つですが、業務の中でも運用が難しいものとされています。多様化する顧客のニーズに応えるため、取り扱うアイテムが増える一方で、過剰在庫に頭を抱える企業は少なくありません。販売機会を逃さないためにも欠品を防ぐことは必要なことですが、その結果、大量に在庫を抱えて管理が行き届かなくなるケースは多いのです。管理が徹底できなければ、あるはずのものが見つからず倉庫中を探し回るようなことになり、発送の遅れや欠品対応などの問題につながってしまいます。このほか、過剰在庫はさまざまな面で経営に悪影響を及ぼします。店舗や倉庫のスペースを占有するだけでなく、資金繰りの悪化にも関わる問題です。この記事では、過剰在庫によるデメリットと、発生原因や防ぎ方について説明していきます。

■悪影響!過剰在庫のデメリット

在庫は、企業の資金を物に変えた形であり、売れることで初めて利益になります。一般的に在庫を持つメリットとしては、販売の機会損失を防ぐことや納期を短くすることが挙げられます。トラブルが発生した場合、在庫があれば商品を交換するといったクレーム対応もスムーズです。商品が足りないよりは多いほうがいいと、在庫を確保しておこうとするのは当然かもしれません。しかし、適正在庫を基準としたときに多すぎる在庫は「過剰在庫」となり、さまざまなデメリットが生まれてしまいます。
企業は利益を得るために、生産や販売を行うための資産(在庫)を資金(お金)で手に入れます。在庫を多く持つことは、多くの資金を在庫に変えたということです。在庫が順調に売れているときは問題ないですが、売れ筋は変わりやすく、売れ残ってしまった場合は利益がでません。値下げや廃棄などで対応することになりますが、資金の元本が回収できず損失となり収益の悪化を招きます。
また、商品を大量に生産してしまった場合や売れ残った場合、在庫として長期保管することになります。在庫は、時間が経過すると品質が劣化して商品価値が低下します。劣化してしまった商品は、正規の値段で販売することは難しく、値引きか廃棄という形を取らざるを得なくなるでしょう。ブランドの価値を守るため値下げできないといったケースもあり、そのような場合はそのままロスになってしまいます。商品によって差はありますが、長期保管は消耗・劣化といった品質の低下につながり、在庫にかけた多大な費用の損失を生み出すのです。また、時間経過によって新しい型が登場し、時代遅れの商品になってしまうことを商品の陳腐化といいます。流行が過ぎてしまえば、値下げをしても売れないといったことも少なくありません。
在庫には保管場所が必要になりますが、倉庫の賃借料や光熱費などを始めとした、さまざまな費用がかかることになります。在庫が多いほど、運搬や付帯作業にともなう輸送費、人件費は増えていきます。在庫を廃棄する場合にも、廃棄するための輸送費用や処分費用、保管していた間にかかった管理費用は大きな損失です。また、増えた在庫を床や通路に置くと、作業スペースが狭くなるため作業効率が悪くなってしまいます。在庫を乱雑に積み上げるような環境は、商品の品質劣化を早めてロスにつながる原因となります。自社に置ききれず新たに倉庫を借りると、在庫管理費用の増加につながります。過剰在庫は、維持や管理に貴重な資金を多く使うことになるだけでなく、廃棄処分で無駄な作業を生み出し人事ロスを発生させます。管理費用の増大は、企業の資産を減らしてしまうことになるのです。
このように、在庫は企業の資産を形に変えたもので、在庫を抱えることは自由に使える資金が減るということになります。過剰在庫によるキャッシュフローの減少は、企業の資金繰りを圧迫してしまいます。在庫がまったく必要ないというわけではないですが、在庫でなく現金ならば、経営状態に応じて投資や運用など使い道を選ぶことができるのです。在庫として固定化した資本では、利益率はゼロとなって金利負担が重くなります。資本の固定化を避けてキャッシュフローを増加させるためには、過剰な在庫を減らすことが重要です。しかし、在庫維持費用の増加やキャッシュフローの減少は、現場では表面化しづらいため見過ごされやすい傾向にあります。

■なぜ?過剰在庫の発生原因

企業の受注環境は、顧客の要望に合わせて多品種を少量生産する時代となり、注文からの納期時間も短くなりました。適切に納品対応するために、在庫を抑えたくても減らすわけにいかないといったケースも多いです。また、売れ行きも変わりやすく、在庫管理は判断が難しいものになってきています。しかし、過剰在庫は資金繰りにも悪影響を及ぼすため、適正な在庫量を維持することが必要といえるでしょう。不要な在庫を抱えてしまう原因はさまざまですが、発生原因を知ることによって対策を取ることができます。
過剰在庫の原因として、在庫の責任者が明確でないということが挙げられます。在庫管理責任者は、それぞれの在庫数量を正確に把握するという重要な役割を担っています。変動の多い在庫管理において、とても難しい仕事です。特に、在庫拠点が複数ある場合、統括する人がいなくては正しいデータを共有することができません。カテゴリーや取引先といった、商品に関わる項目は多いため、迅速に各部門に報告するシステムが必要となります。在庫情報管理者によって管理ルールが確立できていないと、実際の在庫数と帳簿が合わないといったケースや、受注した商品が欠品しているといったトラブルが頻繁に起きてしまいます。情報を把握することにより、出荷実績と在庫数量の傾向から生産・仕入の増減などを適切に判断していくことができます。各部門で正しい情報を共有できれば、商品開発の方向性や重点的な営業先の見極めなど、状況に応じて柔軟な対応を行うことができるのです。
そもそも、過剰在庫が発生しているかどうかを企業が把握できていないといった場合もあります。また、欠品を防ぐための発注によって在庫を抱えて過ぎてしまうときは、在庫分析ができていないことが原因かもしれません。在庫の把握と分析が正確にできていないからこそ、過剰在庫になってしまうのです。顧客の支持が低く回転率の悪い商品が多いと、目新しさがなくなり在庫過多にもつながります。売れ筋商品だけを取り扱うことができればいいのですが、多様化する顧客のニーズに応えようとすると、なかなかそうはいきません。在庫を整理して、一つ一つの商品において優先度・重要度に対し厳しい視点を持つことで、顧客満足度を下げずに経営リスクを抑えることができます。新しく状態の良い商品を、欠品を起こさずに顧客に届けるという意識で在庫管理を徹底することが重要です。生産が多すぎて過剰在庫になってしまう場合は、作業人員数や生産バランスなど、改善していくべき問題があります。他部門で指摘しづらいためそのままにされているケースも多く、必要なデータを企業全体で共有して、在庫を見直す意識を広めていく必要があるでしょう。
また、販売者都合の仕入れになっていると過剰在庫が起きやすいです。自社倉庫に在庫がある場合、帳簿や現場で在庫を把握することはできますが、小売店や販売会社に出荷した商品は、まだ売れていない潜在的な在庫になります。自社在庫が減って新たに生産・仕入れをするときは、出荷先の動向も把握しておく必要があります。実際に売れているかどうかは、出荷量だけではわからないケースが多いからです。また、小売店や販売会社の仕入れ判断が正確であるとは限りません。ブームになっている商品に対して、バイヤーは売れどきと考え在庫を大量に仕入れておこうとする心理が働きます。販売者都合による仕入れは、商品の販売価値が見えにくくなるほか、過剰在庫のリスクが潜んでいます。
できる限り避けたい返品が多いことも、過剰在庫が起きる原因です。返品商品は、キズや汚れがついてしまい不良在庫になることが多い傾向にあります。販売できる状態に戻すにはコストがかかり、きれいな状態であっても新品としての価値がなくなるため、値下げなどを行うことになります。販売可能であっても、返品のタイミングによっては販売時期を逃してしまいかねません。必要のない輸送や保管のコストがかかり、再販売が不可能な場合は廃棄コストがかかってしまいます。小売業から品物が大量に返品されれば、そのまま過剰在庫となってしまいます。過剰在庫になる発生原因を突き止めて早めに対処することで、適切な在庫維持につながるでしょう。

■適切に管理しよう!過剰在庫を防ぐポイント

過剰在庫を防ぐためには、倉庫内の整理整頓が大前提となります。どこに何があるか分からない状態では、個々の在庫や全体の状態を把握することはできません。円滑に在庫を管理するためにも、在庫管理責任者を明確にすることが重要です。責任者がいない場合、販売担当や仕入れ担当など各自の判断による無駄な在庫が増えてしまうことになります。在庫管理責任者は、在庫状況を正確に把握し適切に在庫量の調整を行うことができる立場です。企業の在庫状況をきちんと理解して、重要な在庫を減らしてしまうリスクを回避することができます。また、データに基づいて関係各部門や作業現場に報告・提案を行い、改善につなげていくことも責任者としての大きな役割です。過剰在庫による損失を防ぎ、利益を増やすためにも重要な存在といえるでしょう。
また、過剰在庫を可視化することで、適切な在庫管理を行うことができます。倉庫内を整理整頓したうえで、各商品の保管場所を明確に決めておく必要があります。在庫の位置と量が、誰でもわかるような状態を作り保っていくことが大切です。商品数が多い場合は大変な作業ですが、一つ一つの商品名と所在を在庫管理ソフトなどで把握することで、在庫量がいつも分かる体制を作ることができます。発注から納品までに必要な時間をリードタイムといいますが、適正な在庫量はリードタイムを参考にして考えます。受注生産の場合は在庫を抱えなくて済みますが、生産に時間がかかり納期が短いものは、販売機会を逃さないため見込み生産もある程度は必要です。販売実績や生産リードタイムから、生産量や在庫量を見直します。見込み生産を極力控えて受注生産に切り替えることが、在庫量を減らす有効な方法といえます。
ただし、在庫を可視化しても、需要予測を正確に行わなくては過剰在庫を防ぐことはできません。販売実績や既存在庫数量といった商品に関する情報を、小売店だけでなく販売会社、メーカー、仕入れ先まで可能な限り共有することが大切です。小売店が、販売実績でなく顧客が買いに来たときに在庫がないと困るという不安から仕入れを決めることもあります。その判断をもとに出た数字で、販売会社やメーカーが生産や仕入れを判断するという場合、利益は非常に不安定です。情報の共有化によって情報不足を回避して、過剰な生産や仕入れを防ぎ、過剰在庫へのリスクを減らすことができます。特に需要変動が大きい商品は、各企業間で伝達方法や手段を決めてルールを作ることが必要です。一方通行でなく、双方にとってメリットが生まれる仕組み作りを協力して進めていくことになります。
しかし、すべての情報が手に入るわけではないので、冷静に過去の実績や傾向から情報を分析して、発注数量や生産計画を決めていくことが大切です。生産量や受注数の根拠を見直して、精度を徐々に高めていくことが適切な在庫量の維持につながります。また、売り上げが急激に減少した場合は、全く売れなくなってから対応するという形でなく、早いうちに検討することで改善も見込めるでしょう。

■在庫管理システム導入で過剰在庫を防ぐ!

納品までのスピードが求められる物流において、在庫数や保管場所をリアルタイムで把握できる在庫管理システムは重要なものといえます。商品・製品カテゴリーや顧客別、配送別といった分類で保管場所を決め、在庫品に番号が割り当てられます。システムを導入して在庫が可視化できれば、倉庫内で商品を固定せずに保管できるフリーロケーションも可能です。
保管場所が常に同じことを、固定ロケーションといいます。作業担当者にとって、固定ロケーションは在庫の場所がわかりやすいというメリットがありますが、売り上げ状況によっては棚が空いたり場所が不足したりするなど柔軟性がありません。フリーロケーションの場合は、位置情報を在庫システムで管理するため、空いた場所から在庫を置いていけるメリットがあります。売れ筋商品の保管スペースを確保し、出し入れしやすい近場に設定することもできるなど、状況に応じた効率化を図ることができるでしょう。
ただし、すべての商品のデータベースを作るという点で、多くの時間や労力、コストがかかるため注意が必要です。新システム導入における業務手順の検討や、システム管理者を教育する期間なども設けることになります。しかし、在庫の正確なデータベースを持つことは、在庫管理だけでなく商品開発やマーケティングにおいても重要な分析材料になるでしょう。データを企業全体で共有しやすくなり、在庫に対する意識を高め、過剰在庫を防いで損失を減らすことができます。適切な在庫を維持するためにも、在庫管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする