教えて!物流コストの基礎知識や削減方法

ECサイトの運営を円滑に行っていくうえで、特に重要視されるのが物流です。お客様へ確実に商品をお届けし、その売上で利益を得るという基本的な流れの中で、正確に商品をお届けすること、もし返品になった場合その対応が的確であることは、お客様からの信頼を得るために重要なファクターです。また売り切れ商品がなるべく出ないように管理することも、物流に関連する作業になります。しかし、これらをミスなくこなすためにコストは膨らむ一方です。他の小売業同様、ECサイトの運営コストの中でも、物流コストは手をつけたい経費削減テーマのひとつになっています。そのために、まずは物流コストの基礎知識やどのような物流コスト削減方法があるかを見てみましょう。

■改めて確認!物流コストについて

ECサイトの運営で大きなウェイトをしめるのが、商品のやり取りに関わる物流業務です。お客様とのやり取り、仕入れ業者とのやり取りなどさまざまな作業が行われています。しかし一方で、コストがとてもかかる作業とも言えます。物流に関してどのようなコストがあるのでしょうか。
物流コストとは、物の物理的な移動とそのために必要な書類や手順、処理に関連するすべての物流に関わるコストのことを指します。
一般的に輸配送費のイメージが強いですが、実際には輸配送費だけでなく、その前後で行われる事務処理にかかるシステム費、検品作業などの人件費、商品管理費、倉庫の光熱費、維持費なども含まれます。物流コストを削減したいと考えたとき、これらの一部だけに着目してしまうと、結果的に全体のコストが膨らんでしまう場合があります。例えば在庫を持つEC運営企業では、お客様からの発注を受けて商品を倉庫から物流倉庫へ移動し、いくつかの事務処理や梱包作業を行った後発送します。その際、人件費の削減のために検品や宛名の確認、梱包の外観確認といった出荷前の作業を簡素化するよう変更したとします。しかしこの変更によって発送ミスの割合が増加すると、再発送やお客様へのフォローといった作業にかかる人件費も増加し、結果的にコスト増につながることがあるのです。こういったことを起こさないよう、物流コストの削減を検討する際には、一部ではなく物流の全体像を見ながら効率化を考えていくことが重要です。そのために、物流コストとして挙げられる項目にどのようなものがあるかを明確にしておく必要があります。
物流コストは、大きく2つに分けられます。1つが、支払い物流コストです。物流の工程はすべて自社内で完結するものとは限りません。必要に応じて社外のリソースやしくみを使うこともあります。このように社外に委託や発注をし、それに対して支払われる物流コストを支払い物流コストと言います。もう1つは、自社内で物流業務をする場合に発生するコストのことで、社内物流コストと言います。この2つのコストが具体的にどういうものなのかを、次項以降で詳しく説明していきます。

■物流コスト1!支払い物流コスト

支払い物流コストとは、物流に関する作業のうち、輸配送をするための費用や、商品を保管しておく倉庫レンタル料、商品を出荷するために加工する流通加工料など社外に対して支払いが発生する物流コストのことを言います。
発送を担当する部署では、発送伝票を発行し商品を梱包して発送を行います。発送の方法として宅配便などの外部の流通サービスを利用するECサイトは少なくありません。自社のトラックなどを持ち自社で配送を行う場合は社内のコストとしてカウントされますが、多くの場合、外部の専門の運送会社に委託していることが多く、その費用は支払い物流コストとなります。
またECサイトの運営においては、お客様からの短期間での納品希望に対応するために、ある程度の在庫をもつことがあります。どれくらいの在庫をどれくらいの期間持っているかにもよりますが、自社で倉庫を持っていない場合は、外部の営業倉庫をレンタルやリースという形で契約し利用しますので、その料金の支払いが発生し、支払い物流コストとして計上されます。
また商品はそのまま単発で発送するとは限らず、ギフトセットのようなアソート完成品の組み合わせを行ったり、半商品のものを組み立てたりするなど、加工作業が発生することもあります。タグ付けや袋詰め、シュリンク包装、パッキングといった作業も物流業務のひとつと言えます。これらの作業を外部に発注した場合は、そのコストが流通加工料として支払い物流コストに含まれます。
少人数で運営するECサイトでは、輸配送作業だけでなく、同梱する納品書作成、配達伝票の発行など、物流に関する事務作業も外部に委託することは少なくありません。こういった場合には委託料などの支払いが発生しますので、支払い物流コストのひとつになります。
このように社外に支払いが発生する物流コストを、支払い物流コストと言います。支払い物流コストは経理上支払いを行った数字として分かりやすく、請求書などで算出しやすいため、コスト削減の対象として注目される場合が多いと言えます。

■物流コスト2!社内物流コスト

物流に関わるコストのうち、社内で発生するものを社内物流コストと言います。社内に輸送手段を持っている場合は、輸送費がかかりますし、倉庫があれば保管費用が掛かかかります。これらはすべて社内で発生するコストですから社内物流コストということになります。輸送費には、車両費用だけでなく、輸送にかかる燃料費や高速料金などの費用、駐車場維持費などの実質的な費用が含まれます。また、運転手などの人件費や車両維持の費用も含みます。さらにこれらを効率的に運用していくためのシステムも必要ですので、それにかかわる人件費やメンテナンス費用もコストとなります。例えばトラックのバース管理に注目してみましょう。多くのトラックの出入りがあればあるほどバース管理が重要です。スムーズに作業を進めていくためには、運転手や荷物管理の連携も不可欠です。このようにいくつもの条件を加味して複雑になりがちな手順をスムーズに管理していくためにはコストをかけなければ難しいといわれています。倉庫管理についても同様のことが言えます。効率よく倉庫管理を行うためには、頻繁に出荷され回転の速い商品は手前に置いたり、人の動線を考えた保管場所の選定をしたりといった工夫が必要です。この工夫を判断するためにはシステムなどのコストをかけることになります。
そのほか商品の組み合わせ作業や梱包作業を社内で行った場合の人件費や、出荷に関わるシステムの運用を自社で行った場合の費用なども、社内物流コストになります。実店舗で買うようにお店のペーパーバッグや包装紙でラッピングして手渡しするのとは異なり、商品を出荷する場合にも、輸送に耐えうる梱包をするといった作業、納品書や粗品、カタログなどを同梱するキッティング作業もあります。こういった作業にも人件費や梱包資材費、社内情報処理費などがかかり、社内で行っている場合は社内物流コストになります。
物流コストは、社内物流コストであれ支払い物流コストであれ経営上の観点から削減を検討したいコストになります。とくに支払い物流コストは支払いとして分かりやすいため着目しますが、つい見落としてしまいがちなのが、社内物流コストです。社内物流コストである人件費やシステム運用費は、単に出荷のためだけに行われるものではなく、社内の事務処理やほかの業務と連携していることが多いものです。そのため、他の経理計上項目に埋もれてしまいやすいのです。たとえば流通加工作業にかかった人件費などは、製造原価などにふくませてしまう場合もあります。
このような経費の処理をしてしまうと物流コストとして見過ごしてしまいます。さらに人件費は労働時間も加味されてしまうことから、計上しづらいという面を持っています。しかし、これらを正しく把握することはコスト削減を行う上で重要になります。

■ポイント!物流コスト削減方法

ECサイトにおいて、物流コストを削減するにはどこに着眼すればよいでしょうか。今まで紹介してきたように物流コストと一言で言っても様々な項目があり、それぞれに関連性を持ちながら運用されています。ひとつひとつを丁寧に検討していくうえでポイントになるのは3つあります。
1つめは人件費です。物流コストに限らないことですが、人件費においてはいかに効率よく作業ができるかがポイントになります。ECサイト運営の場合、物流コストの中でとくに人件費がかかる業務は、配送や倉庫管理に関わる業務です。物流の作業は常に時間との戦いです。効率よく仕事をこなすには、全体の作業手順を把握したうえで、それぞれの手順で必要な部材などの不備がないようにしてスムーズな流れを乱さないようにすることが必要です。例えば、商品を発送するため梱包をする際に、すでに納品書が印刷されて作業者の手元にある場合と、商品がきてから印刷をする場合とでは効率が異なります。こうした小さな効率化であっても、その積み重ねが社員の残業時間短縮につながります。そうなると人件費も削減されるのです。さらなる削減を考えるのであれば、商品ひとつひとつに対する作業だけでなく、出荷という全体的な作業の効率も変えていくことも効果的です。トラックに商品を積み込む際、手作業による積み替えを極力減らしたり、人の行き来する通路を確保するため作業スペースの改善を行って効率を上げたりといったトータル的な改善が必要です。そのほかにも、作業の際に紙のチェックシートを使って管理しているのであれば、バーコード管理を試してみるといった新しいシステムを導入するのもよいでしょう。
2つめは保管費です。商品の在庫管理は、コスト削減を行う上で重要視されるポイントになります。まず、商品の在庫が多すぎると保管するスペースが足りなくなります。また、回転が悪く在庫が長期間残っているとその倉庫のスペースがデッドスペースになります。しかし、やみくもに倉庫を大きくしすぎることも決して良いとはいえません。大は小を兼ねるといいますが、こと倉庫に関しては大きすぎると空のスペースが増え、使っていない倉庫費用も支払うという無駄な費用が発生するからです。スペースをいかに有効活用できるかが物流コスト削減のポイントのひとつになります。EC事業においては、在庫が多い時もあれば少ない時もあったり、商品の回転が悪い時も良い時もあったりします。倉庫での保管は、常に状況を見極めながら最も効率の良い倉庫利用を行うことで保管費の削減を実行しましょう。
3つめは情報処理費です。在庫管理はもちろん、仕入れなど商品管理の効率化の改善によってコスト削減が実現できます。同じ広さの倉庫で、毎日出荷する商品の量と入荷してくる商品の量のバランスがとれていれば、倉庫は広げる必要がありませんし、欠品を起こすこともありません。コンピュータを駆使して受注予測を行い、仕入れ管理や在庫管理を行うことがコスト削減につながります。また、ITを活用することにより、人が行うと時間がかかりすぎていたり、ヒューマンエラーを起こしたりすることも、デジタル化して機械に任せたりデータで一括して管理したりすることができ、正確でスピーディーな業務を行うことができます。このように情報処理費は、それぞれの効率をはかる上でかなめとなるデータを作成するだけでなく、より一層の効率化を推進するために利用されます。ですが、そのためにシステム費が膨大になっては、いくら細かい改善をしても結果を得ることはできません。必要なシステムは残し、改善された業務があればそれに合わせてメンテナンスを行うなど、常に現場にあわせた情報処理を行っていくことが大切です。

■物流業務そのものをアウトソーシングするのもひとつの手段

物流コストの削減には、全体を見ながら様々な要因を組み合わせて検討する必要があります。作業の効率化を考えて人の配置を変えたり、新しいシステムの導入によって在庫管理を行ったりすることもできますし、作業のマニュアル化で余計な作業をそぎ落とすこともできます。しかし、これらには膨大な時間と費用がかかります。ひとつのシステムを導入したとして、今行っている物流業務に合わせてつくりこんでいくとなると、開発費用と工数がかかりすぎてしまいます。また、一度作ってしまったシステムは簡単に変更できないため、フローの柔軟性も欠かせない条件になります。作業のマニュアル化にも多くの時間がかかります。新しいシステムの導入を検討する場合は、最初にひとつひとつの作業を洗いだし、それらの関係性を図式化する作業を行います。そのうえで、最適な方法に変更をして、さらに検証を繰り返すことになります。
このように物流コストの削減は、実行するにも難しい側面を持ち合わせています。だからといってあきらめる必要はありません。自社内でなければできない作業や直接行いたい作業はそのまま行い、その他の作業は物流アウトソーシング業者に委託することで、コストの削減を実現することが可能です。物流のフローは流れるように進んでいくことが大切ですが、切り分けることができないわけではありません。では、どのような業務をアウトソーシングすればコスト削減や利益の向上に貢献できるのでしょうか。今のEC市場では、すぐに商品を手もとに欲しいと希望するお客様は多く、短期間で配送可能なECサイトからの購入を考えます。しかし、現状の物流環境のままでは対応できないということもあるでしょう。そのときにあきらめるのではなく、アウトソーシングを検討してみるのです。情報を連携し在庫管理や発送作業を任せておけば、専門業者のノウハウを使ってすばやく対応し、早い発送が実現できる可能性が高いです。また、物流アウトソーシング業者には、入荷や検品など人件費に直接反映される業務を委託することもできます。入荷から検品、棚卸などの管理業務から、さらに、送り状発行、ピッキング、梱包、出荷までをアウトソーシングすれば、ECサイト運営者自体は、企画やサイト運営などに力を入れることができます。迅速さが求められる返品や万が一商品に不備があった場合の交換対応も、しっかりとした仕組みを持つ専門業者に委託すれば、早期に完結することが可能でしょう。さらに、ECサイト運営では、取り扱う物流の量が時期によっては突発的に増えたり、逆に急に減少したりする流動コストであることも注目しておかなければなりません。例えばクリスマスシーズンには、ギフト商品を扱うサイトでは通常の数倍の物流が発生することが考えられます。そのたびに物流環境を構築しなおしていては、コストは膨らむばかりです。そういった課題に柔軟に対応できるのも、物流アウトソーシング業者を利用するメリットのひとつと言えます。
このように業務の一部をアウトソーシングすることでも物流コストの削減が期待できますが、より効果的な削減を目指したいのであれば、一括してアウトソーシングすることも検討してみましょう。自社の物流が新しい効率的なフローに生まれ変わることによって、効率の良いECサイトの運営が短期間で実現できるのではないでしょうか。

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