わかりやすい!倉庫管理システムの機能や導入メリット

小売業にとって、在庫管理は大きな課題です。管理部門の担当者が人力で管理することも可能ですが、扱う商品の数量によっては多大な労力が必要になってしまうでしょう。そのようなときに役立つツールが「倉庫管理システム」です。倉庫管理システムを導入すれば、倉庫内の在庫情報を効率的に管理できるようになるため、さまざまなメリットが得られます。今回は、現在倉庫管理システムの導入を検討している方を対象に、倉庫管理システムについての基礎知識を紹介しましょう。一般的な機能や導入することで得られるメリット、導入までの流れについて順番に解説していきます。

■基礎知識!倉庫管理システム「WMS」とは

倉庫管理システムとは、その名が表すとおり倉庫内に収められた商品、つまりは在庫の情報を管理する仕組みのことです。英語では「Warehouse Management System」といい、頭文字をとって「WMS」と呼ばれる場合もあります。
最初に、倉庫管理システムがどのような背景から誕生したのか説明しましょう。小売業において、商品情報を管理することには非常に重要な意味があります。なぜなら、商品を作りすぎて無駄な在庫を抱えてしまったり、逆に需要はあるのに商品が足りない欠品状態を防いだりすることができるからです。
1980年代、アメリカを中心に、商品が売れたタイミングで情報を管理する「POSシステム(販売時点情報管理)」という仕組みが広まりました。コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで一般的な、バーコードを読み取って会計を行うレジがPOSシステムの端末です。POSシステムの導入によって、小売店は「どんな商品がいつ、いくらで、何個売れたか」を正確かつスムーズに管理することが可能になりました。
倉庫管理は、元々このPOSシステムが担っていた役割のひとつです。商品が「どの倉庫にいつ入荷され、いつ出荷されたのか」といった情報は、入出庫記録と呼ばれています。この入出庫記録も、販売価格など他の情報と一緒にPOSシステムによって管理されるようになったのです。しかし、その後POSシステムの中で倉庫管理のために役立つ情報を取り扱う機能が徐々に発達、拡大することになり、最終的には倉庫管理システムという形で独立することになりました。
このように、倉庫管理システムは販売情報を管理する仕組みの中から派生して誕生したシステムです。元々別の目的で使われていたシステムの中から誕生したという経緯からも、現場からの要求によって誕生した実用性の高いサービスであることが伺えます。

■もっと詳しく!倉庫管理システム「WMS」の機能

次は、倉庫管理システム(WMS)にどのような機能があるのか見ていきましょう。倉庫管理システムが持つ機能は大きく4種類に分けられます。
1つ目の機能は「入荷管理」です。自社の生産工場や仕入先から届いた商品は、出荷されるまで倉庫で一時的に保管されることになります。このとき、保管する期間が短時間であったり、管理する商品の数が少なかったりすれば「どんな商品がいつ、どこから、いくつ届いたか」を記録しておくのは難しくないでしょう。しかし、さまざまな商品がいろいろな場所から絶えず入荷されるような倉庫の場合、入荷情報を正確に管理しないと、どの商品がいくつ倉庫に入ったのかわからなくなってしまいます。もし、そのような状態で担当者が不在のとき、倉庫内に商品が入荷されてしまったとしたらどうなるでしょうか。入荷の有無が不明瞭になり「たしかに商品を入荷した」、「いやこちらでは確認していない」というようなトラブルに発展してしまう可能性もあります。このように、人力で行う入荷管理には自ずと限界があり、同時に細かいミスが発生してしまうリスクを抱えているのです。
倉庫管理システムでは、新しい商品が入荷された時点でその情報をシステムに入力します。単一のシステムで倉庫内にあるすべての商品の入荷情報を統合的に管理することができるため、入荷した商品の数と実際に倉庫内にある商品の数に違いが出てしまう心配はありません。
2つ目の機能は「在庫管理」です。在庫管理は「今倉庫内にどの商品がいくつあるか」を把握するだけでは十分とは言えません。商品の保管場所や製造年月日、入荷日時といった情報も把握する必要があります。たとえば、食料品のように賞味期限や消費期限のある商品をイメージしてみてください。そういった商品は可能な限り古い在庫から先に出荷していったほうが、期限切れの商品が発生するのを防げるはずです。保管しているのが消費期限のない商品だったとしても、やはり先に入荷した商品を先に出荷していくほうが有効だと言えます。同一の商品であってもパッケージが更新される場合もありますし、経年劣化して素材が変質してしまう可能性もあるからです。家電製品など年度ごとに新しいモデルが出る商品なら、古いモデルを先に出荷してしまわないと時間とともにどんどん価値が低下していってしまうでしょう。在庫管理は、先に入荷した商品を先に出荷する「先入れ先出し」が大原則です。在庫管理システムを導入すれば、こうした在庫の情報をまとめて管理することができます。
3つ目の機能は「出庫管理」です。通常、出荷作業は「どの商品を、どの場所に、いくつ、いつまでに出荷してほしい」というような出荷指示に基づいて行われます。出荷指示があるたびにその都度出荷作業を行う場合もあれば、商品を送る場所や時間帯ごとに複数の出荷作業をまとめて行う場合もあるでしょう。在庫管理システムが導入されていれば、複数の出荷指示をまとめて確認できるため、作業者はどのように作業を進めるのが効率的か即座に判断できるようになります。
また、商品を出荷する際には、納品書や送り状、荷札といった書類を出力しなければなりません。手作業でこれらの書類を作成するのは大変な手間がかかってしまいますが、在庫管理システムがあればシステムが自動的に作成した書類を添付するだけで済むので、出荷作業の負担は大きく軽減されるでしょう。
4つ目の機能は「棚卸管理」です。企業の売上と利益はお金の出入りから確かめられます。それに対して在庫は「商品の形となった資産」なので正確な数量を把握するためには定期的に数をカウントする棚卸作業を行わなくてはなりません。現在把握している在庫の数と、実際に倉庫に保管されている在庫の数に違いが生じていないかチェックする必要があるわけです。商品数が多い場合、棚卸には大きな労力がかかります。複数の倉庫を管理している場合「倉庫Aに保管したと思っていた商品が、実は倉庫Bに保管されていた」という状況もありうるため、異なる倉庫の在庫情報を相互に比較しなければならないこともあるでしょう。在庫管理システムがあれば、複数の倉庫の棚卸情報をひとつのシステム上で確認できるようになります。

■倉庫管理システム「WMS」の導入メリット!

倉庫管理システムは、倉庫管理業務を効率化し、作業負荷を軽減するのに効果的です。一般的な倉庫管理システムではバーコードやQRコードなどによって商品情報を読み取ります。ひとつひとつの商品情報を手作業で入力しなくとも、読み取り用の端末をかざすだけで一瞬のうちに在庫情報がシステムに記録されるので、入庫、出庫処理のスピードアップを図ることができます。
さらに、手作業の場合に発生しがちなデータの誤入力を予防できるのもメリットです。在庫情報が誤って入力されてしまうと、出庫先に商品が間違って送られてしまったり、入庫されていない商品が「入庫されている」ことになってしまったりする恐れがあります。手作業では商品名や日付などを誤って入力してしまう可能性がありますが、コードの読み取りではそういった心配もありません。
倉庫管理システムでは、在庫情報はすべてデジタル上で管理されます。そのため、システムを導入すれば自動的に在庫管理業務のペーパーレス化が実現できるわけです。資源の無駄を減らすとともに、大量の紙資料の中から目的とする在庫情報を探すような無駄な工程もなくすことができます。
在庫管理のやり方が社内で統一できていない企業の場合、在庫管理作業が属人的な方法で行われていることも少なくありません。たとえば、担当者や商品の種類ごとに異なるフォーマットで在庫情報が管理されている場合もあるでしょう。このようなケースでは、たとえ情報が正確に管理されていたとしても担当者以外には在庫情報が把握しづらいため、「在庫の見える化」が実現できているとは言い難い状況です。もし急な転職や部署異動などで担当者がいなくなってしまえば、途端に在庫管理が難しくなってしまうでしょうし、新任の担当者が業務に習熟するためには長い時間が必要になります。倉庫管理システムがあれば、すべての在庫情報を統一的なフォーマットで管理できるようになり、業務初心者でもスムーズに業務を行うことが可能です。フォーマットが統一されることにより、担当者以外の人が在庫情報を閲覧する場合でも在庫の状況がわかりやすくなるでしょう。

■倉庫管理システム「WMS」導入までの流れ

ここからは、倉庫管理システム(WMS)を導入する際の流れについて順番に説明していきます。
最初にやるべきことは、業務フローの確認と倉庫業務における問題点の共有です。商品の製造から販売に至るまでの業務フローは、企業によって異なります。業界、業種が違えば販売までの流れも違いますし、工程ごとに担当部門が変わる場合もあるでしょう。一般的には、商品を作るのに必要な資材を集める調達部門、実際に商品を作り出す製造部門、完成した商品を売る販売部門などが関係部門にあたります。入荷、出荷の指示はどの部署からどの部署に伝達されるのか、指示が実行に移されるのはいつか、といった業務の流れを確認し、図式化しておく必要があるでしょう。
特に、直接倉庫業務に携わる部署からは、現在の倉庫業務でどんな問題が生じているのかヒアリングしておく必要があります。新たに導入する倉庫管理システムは、倉庫業務の効率化に寄与するものでなければいけません。「必要な在庫情報が記録できていない」、「在庫情報は記録されているが、実際の在庫と異なっている場合がある」というように、企業によって抱えている課題はさまざまです。顕在化している問題を明確にすることで、導入するべきシステムにどのような機能が求められるのかはっきりさせておく必要があるでしょう。
倉庫管理の問題が明らかになれば、必要な対策も自ずと見えてくるはずです。導入する倉庫管理システムに最低限必要となる機能を明らかにし、それを導入することでどのようなメリットが得られるか、関係する社員全員と認識を共有しておく必要があります。新しいシステムの導入は業務工程の変更を意味するため、場合によっては社内から反対の声があがる可能性もあるでしょう。社内に余計なトラブルのタネを抱えてしまわないようにするためにも、倉庫管理システムを導入する目的とそのために必要とされるシステムの要件を確認しておいてください。
新しいシステムを導入する際は、既存のシステムとの相性を確認する必要があります。小売業では、POSシステムやECサイトの運用システムなどをすでに導入している企業が少なくありません。倉庫管理システムを導入するのであれば、こういったシステムと問題なく連携できるものを選ぶ必要があるでしょう。
現在、世の中には多数の倉庫管理システムが出回っています。基本的な機能は変わりませんが、細かい機能やインターフェースの使い勝手、料金などの条件を比較してどのシステムを導入するか選ぶことになるでしょう。既存の倉庫管理システムはオンプレミス型とクラウド型の2種類に大別できます。オンプレミス型は、データを自社内で管理するシステムです。こちらを選んだ場合、導入費用に加えて開発費が必要になり、選任の担当者を育成しなければなりませんが、自社専用の倉庫管理システムを構築できます。クラウド型は、すでに存在する倉庫管理システムのサービスをインターネットから利用するものです。オンプレミス型とは違い開発コストはかかりませんが、社外でデータを管理することになるためセキュリティが確保できるかに注意する必要があるでしょう。
どの倉庫管理システムを採用するか決めたら、運用に向けて具体的な準備を進めていかなければなりません。具体的には、構築する倉庫管理システムにどのような機能を盛り込むか、どのようなインターフェースで管理するか詳細な仕様を決めていくことになります。さらに、運用時に必要となる社内マニュアルの作成や、作業担当者への教示も必要になるでしょう。
以上の準備が整ったら、実際に問題なくシステムを運用できるかどうか、テスト環境で検証を行います。商品や倉庫、担当者を限定した上で試験的に倉庫管理システムを動かし、システムの機能や使い方に問題はないか、マニュアルに抜けがないかといった点をチェックしてください。
テストが終わり、問題なく運用できそうな見通しが立ったら、いよいよ本番環境で導入をスタートします。機能面での問題は見つからないかもしれませんが、実際に運用を続けていく過程で「もっとこうできたらいいのではないか」といった改善点が見つかるかもしれません。倉庫管理システムを安定的に運用していくためには、そうした担当者の声を拾い上げ、運用方法にフィードバックしていく必要があります。

■倉庫内での業務効率化を図ろう!

なぜ多くの企業は倉庫管理システムを必要としているのでしょうか。最も大きな理由としては「倉庫管理業務の効率化」が挙げられます。実は、倉庫管理には長らく統一された手法が存在していませんでした。そのため、倉庫管理の担当者は自分自身で管理の手法を考えざるを得ず、結果として各企業がそれぞれ異なった手法で倉庫管理業務を行っていたのです。しかし、そのようなやり方には必然的に非効率的な部分が生まれてしまいます。そういった問題は、担当者自身の努力や人員の増加によって解決されてきましたが、倉庫管理システムの登場によって根本的な解決が可能になったのです。
倉庫管理の効率化が実現すると、さまざまなメリットが得られます。過剰在庫や欠品の発生を予防できるのはもちろん、倉庫の賃料や光熱費など、在庫の維持管理に必要なコストを削減することも可能です。効率化を進めれば無駄になっている倉庫を手放したり、より少ない人数で倉庫を管理できるようになったりするかもしれません。無駄な在庫を削減し、在庫管理のために費やしていたコストを軽減できれば、新商品の開発や新規事業の立ち上げなど、より売上アップに貢献できる施策に経営資源を集中できるようになります。つまり、倉庫管理システムの導入は、最終的に企業業績の向上にも役立つということです。
倉庫管理システムの運用を成功させるためには、その機能やメリットを十分に理解した上で、自社に必要なシステムはどのようなものなのかよく検討する必要があります。今回紹介した内容を参考にぜひ導入と運用を推進してみてください。

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