物流管理に欠かせない!物流の分析方法とは?

産業構造の変化に伴い多品種少量消費社会となったことで、物流で取り扱われる荷物の種類も変わってきました。それにより、物流は小ロットな品目を数多く取り扱う機会が増し、その管理も複雑化しています。例えば配送センターでも、倉庫内で扱っている商品の在庫管理を行う中で、増えた商品数をいかに効率よく管理するのかが問われはじめました。なぜなら、ネット通販などで個人向けに発送される機会が増え、低コストで効率的な管理が強く求められるようになったからです。いかに多くの商品を効率的に管理するのか、その方法の一つ、ABC分析について説明します。

■物流管理や物流改善における分析の重要性

一人で把握することが可能な商品点数であれば、どこの棚に何をいくつ保管してあるのかは台帳を見れば把握できます。しかし扱う商品や部品の品目が増え、個人ではとても把握することができない数量になってしまうと、なんらかの方法で効率的に管理することが欠かせなくなります。例えば1万点を超えるような商品や部品を倉庫で管理する場合、適当に棚に収納してしまうとやがてどこに何を置いたのかもわからなくなり、現場は混乱してしまいます。
管理する上で大切なのは、売れる商品や高額な商品、出荷数量の多い部品や使用頻度の高い部品など、多くの品目の中から重要な品目を仕分けし、それらを優先的に管理することです。そうしなければ、人や時間がいくらあっても効率的な管理はできません。
1万点の商品や部品を同様に管理するのではなく、優先度を決めて管理するのが、コスト的にも効率的にも最適な在庫管理・品質管理の方法です。では、商品や部品の優先度はどうやって決めるのでしょうか。物流管理や物流改善の現場では、ある手法を使って各品目の優先度を決定します。

■ABC分析とは?

従来の在庫管理では、たとえば用途別に、屋根材や壁材、床材、外壁材というような分類方法で管理することもありました。屋根で使用するものだからRの棚に収納するというような分類方法です。しかし注意したいのは、物流センターなどで取り扱う商品や部品は莫大だということです。さらにすべての商品や部品が平均的に同数ずつ売れることはありません。販売価格も高額なものから低額なものまでさまざまです。
ABC分析の特徴は、在庫管理や品質管理の面でとても有効な手法だということです。分析する際に基準として着目するのは、個々の商品や部品の売上高(販売金額)で、売上高が大きい商品や部品ほど優先度の高い品目となります。受注が期待できるニーズの高い商品や部品は在庫管理や品質管理を重点的に行いますが、ほとんど売れていない商品や部品には人件費などのコストをあまりかけないようにします。
そこでABC分析では、全品目を売上高に応じて3段階に分類し管理します。つまり、すべての売上高の70%に含まれる商品群をAグループとし、70~90%に含まれる商品群をBグループに、それ以外の商品群をCグループに分類します。Aグループに属する商品群というのは、売上高の70%に貢献する売れすじ商品なので、在庫管理はもちろん品質管理も念入りに行い、欠品が出ないようにします。一方、あまり発注のないCグループの商品群は在庫削減の対象になる場合があります。つまりグループ分けをすることで、売上高に応じた効率的な管理ができるようになります。

■物流でABC分析を導入する目的

1日に莫大な数の商品が流通している物流業界では、ミスなくスムーズな商品管理が求められます。その意味でも、多種多様な在庫品目それぞれの特徴に合わせた商品管理が必要になります。継続的に売れる定番商品や一時期爆発的に売れる流行商品、断続的に少数売れる地味な商品を同じように管理するのは非効率そのものです。
ABC分析を導入し、売上高に応じて3つの大きなグループ品目に分けることができたら、次は実際の業務に合わせた最適な在庫管理を実行しましょう。たとえば物流センターの保管業務を例にとると、Aグループの定番商品はピッキング動線が最短となるように保管配置を見直します。出庫頻度が高いAグループ品目は出入口付近に配置することで荷役の効率を上げることができるからです。Bグループ品目はAグループ品目より出庫頻度は低いので、Aグループ品目の奥に配置します。Cグループ品目は倉庫の奥に配置し、作業効率よりもスペース効率を優先します。
このように、ABC分析を物流で導入する目的は、それぞれの現場の様態に合わせて効率的な業務の手順や流れを遂行することができるからです。

■実際にABC分析を使ってみよう!

では、実際にABC分析を使ってみましょう。最初に1万点ある全品目を売上高の高い順に並べかえ、もっとも売上実績のある品目から順番にそれぞれの売上高を加算していきます。1万点まで加算すれば、ちょうど全品目の売上高になるはずです。
ABC分析では、3つのグループに分類します。Aグループは、全体の売上高の70%に含まれる商品群で、ここにはよく売れる上位の品目が属します。Cグループは全体の売上高の90%にも含まれない商品群で、たまに売れる品目が並びます。そしてBグループは、AでもCでもない、そこそこ売れる品目が該当します。
これで「売れる品目」という目線で3つのグループに分けることができました。たとえば、Aグループの品目は常時ニーズがあるので、注文が入ればすぐに出荷できるように管理を徹底します。またCグループであれば、たまにしか出ないので、場合によっては在庫管理から外して他の商品を増やしたりすることも検討できます。
つまり、在庫管理を適切に行うには、目的に則した方法で、効率的なやり方が欠かせません。少ない品目数であればできることも、莫大になればルールが必要なのです。ABC分析は、そのルール作りの道具といえるかもしれません。

■物流コンサルタントの役割

物流の分析方法として、ABC分析は有効なツールです。物流管理の効率化を目指す人には比較的親しみやすい考え方といえるでしょう。しかし単純に3つのグループに部類するだけで、すべてが効率的に管理できるわけではありません。場合によっては目的に合わせて変則的にアレンジを加えたり、手直しすることも必要です。さらに実務レベルでの運用ルールの選定まで含めると、物流管理は経験とノウハウが要求されます。
物流分析に興味があっても、なかなか手を出せない人は物流コンサルタントに相談してみるのも良いでしょう。物流コンサルタントの役割は、物流管理の現場を見すえた最適な方針を検討し、業務の連携性を向上させながら負担を軽減させることにあります。また、コンサルタント業務に実績のある物流会社などでも同様な相談ができるので、必要に応じて利用するといいでしょう。

[監修]

 坂上 哲也、(経営コンサルタント)

建築士として起業後、インターネット日本上陸を機にIT導入支援コンサルティング会社設立。インターネット黎明期よりSEOやアクセス解析を始めとするWebマーケティングに取組み、独自の経営視点も併せ中小企業および店舗のための勝てるウェブ戦略立案が主業務。

保有資格:二級建築士、ウェブ解析士マスター、情報セキュリティ管理士

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