物流のさらなる無駄を省くSCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

いくつかに分かれて運用されていた物流にロジスティクスと呼ばれる一元管理システムが導入され、物流の効率化はある程度達成されました。しかし、ネット通販の普及に伴って、特にB to Cを中心とした物流の需要が拡大し、さらなる効率化が欠かせなくなってきました。そこでロジスティクスをより進化させたシステムとして登場したのがSCM(サプライチェーンマネジメント)です。今回は、業界全体での効率化を目指すSCMの役割について詳しく説明していきます。

■物流管理からロジスティクスへ、そして流れはSCM (サプライチェーンマネジメント)へ

物流業界におけるおもな役割は、注文された商品を発注先まで正確に届けることでした。その意味では、B to Bと呼ばれる企業間の大口注文がメイン業務に位置付けられていました。しかし多くの製造業が生産拠点を海外に移し国内生産が減少したことで、物流業界は一般消費者向けのB to Cに販路を拡大させたのです。
各企業はそれぞれの強みを生かした商品開発を立案し、原材料や部品を調達して生産を行います。完成した商品は、出荷が行われるまで倉庫に保管された後、消費者へ配送されます。この一連の流れを物流管理と呼びますが、かつては保管などの倉庫業務や配送としての物流業務などが別々に分担されていました。
市場が大量生産・大量消費の時代から多品種少量消費へと移行したことを受け、物流管理で膨らんでしまったコストが大きな負担となり、改善が求められるようになったのです。そこで、物流管理の流れをコントロールしようとして、各企業でも自社倉庫を管理運営したり、倉庫内の管理業務を効率的に行える自動化が進みました。ロジスティクスとは、バラバラに行われていた物流管理を一元管理することで、無駄を省き収益性を向上させるために採り入れられた仕組みです。さらに物流の効率化は関係企業にも広がり、業界全体で効率化が行われるSCM (サプライチェーンマネジメント)へと進化していきました。

■SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

物流業務は、それぞれの過程でどうしても作業の重複などが発生してしまいます。そこでロジスティクスが導入され、一元管理を行うことで無駄を省くことが可能になりました。それでもさらなる効率化・最適化が図られるようになった背景には、物流がネット通販などのB to Cに販路を見いだし、動きはじめたことも影響しているでしょう。
「SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?」とたずねられても、返答に困る方は多いでしょう。簡単に答えると、ロジスティクスによる一元管理を拡大させたシステムのことです。ネット通販が盛んになり、一般消費者向けに数多くの商品が通販サイトで扱われるようになりました。一般消費者からの注文を受けると、商品が指定先まで配達されます。そこにはかつてのようなものを運ぶ業務だけでなく、在庫管理をはじめ、梱包や流通加工などの複合的な業務が欠かせません。通常、それらを一社だけで行うことは少なく、多くの企業が加わり運営されています。
そうなるとロジスティクスのような企業内の効率化だけでは不十分で、業界を通じたさらに大掛かりな効率化が求められるのは自然な流れでしょう。B to Bが頭打ちになり今後も拡大が見込めないのであれば、物流業界においてEC通販は大きな収入源でもあり、SCMによってさらなる進化が行われることになります。

■SCMのシステムを生み出した原動力TOCとは?

これからますます物流とネット通販の連動性は高まると考えられています。当然、SCMを導入した物流管理も欠かせないでしょう。SCM(サプライチェーンマネジメント)はSupply Chain Managementの略で、日本語では「供給連鎖管理」と訳されます。調達から生産、販売、流通を通じて商品が消費者へ届けられる一連の「ものと情報の流れ」をサプライチェーンと呼んでいます。つまり、SCMとは、サプライチェーンをマネジメント(一元管理)することで効率的に行われる仕組みのことです。管理するという意味では、ロジスティクスも似ているのですが、SCMではより広く効率的に行うために企業間の垣根を越えているのが特徴です。
また、SCMは4つのパートから成り立っています。SCMの頭脳に相当しているのが、SCP (サプライチェーンプランニング)です。通常、SCPはこれまでの業務で得た顧客の受注情報などをもとに需要予測や生産計画を立て、在庫計画や物流計画を作成します。需給調整や納期回答にも素早く対応し、より効率的な生産モデルを提供してくれます。
次にSCE (サプライチェーンエクスキューション)と呼ばれる実行部隊に相当するパートでは、業務全体が潤滑に進行するように機能します。たとえば物流センターの管理であったり、配送用のトラックなどの調整管理、人員の労務管理など、管理部門を全体的にサポートします。
3つ目がロジスティクス実務で、物流センターを運営し、商品のピッキングや仕分け、検品、梱包、流通加工などの出荷業務全般を担当します。
4つ目がERP (パッケージ)で、企業資源を統合的に管理する基幹システムをいいます。企業の生産管理や販売管理、在庫管理、財務管理などすべてを扱い効率化を図ります。
これら4つのパートから構成されているのがSCMですが、それにはTOC(Theory of Constraints)と呼ばれる理論がベースとなっています。TOCは日本語では「制約理論」と訳され、SCMを最適化する方法です。簡単に説明すると、組織内でボトルネック(パーフォーマンスが一番低いところ)を見つけ、そのボトルネックを改善し、スループット(処理速度)を向上させた後、新たなボトルネットを見つけ、また改善し、これを繰り返すことでさらなる効率化を目指す、という考え方です。
そこでTOCの考え方を採り入れたSCMでは、利益率を最大限増やすために、売り上げに対する原材料の見直しを行ったり、製造ラインの適正化や生産中の仕掛かり品の削減などに努めます。設備を補強する場合でも、非効率なセクションが改善するようなものでなければ効果的とはいえません。無計画な補強では、仕掛かり品が増加することになり、事業費の効率的な運用が阻害されてしまうからです。その意味でも、SCMでは管理システムと実務作業を分離させ、業務管理が全体を通してスムーズになるメリットがあります。
TOCの導入によって業務効率をトータルに評価し判断するようになったことで、4つのパートから成り立つSCMはさらに最適化され効果的に機能しているのです。

[監修]

 坂上 哲也、(経営コンサルタント)

建築士として起業後、インターネット日本上陸を機にIT導入支援コンサルティング会社設立。インターネット黎明期よりSEOやアクセス解析を始めとするWebマーケティングに取組み、独自の経営視点も併せ中小企業および店舗のための勝てるウェブ戦略立案が主業務。

保有資格:二級建築士、ウェブ解析士マスター、情報セキュリティ管理士